今さら聞けない、扶養って何?扶養の仕組み解説とメリットを紹介!
結婚して妻や子供、病気の母を扶養するなんて会話を聞いたことあるでしょうか。今日は「扶養」の意味と内容について紹介したいと思います。国の制度を正しく理解することは、私生活を守る上で大切です。ぜひ読んでみてください。
扶養とは?
扶養という言葉は日常ではあまり聞きませんが、簡単に説明すると、老幼・障害や病気・失業などの自分一人の力では生活が難しいに家族や親族に、経済的に援助することを「扶養」と言います。そして、日本には扶養している人を補助する仕組みがあります。
扶養のメリットは【税金】・【社会保険】が支払いが減る
日本の制度では、扶養している人がいる家庭は扶養人数に応じて、【税金】が減額されたり、【社会保険】の支払いを免除してくれるというメリットを受けられます。
同じ給料でも、扶養していると手取りの金額が増える
ですから、家族を扶養できるかどうかによって、この恩恵を受けられるかが決まります。こういった国の優遇措置を受けられるようになるためにも、今回の記事で扶養への理解を深めていきましょう。
【税】における扶養について
税法上の扶養では、所得税や住民税を少なく計算してくれます。扶養されている人は収入がない場合も多いので、生計を立てている人(扶養者)の年収から減額(控除)して税金を計算してくれます。
扶養控除について
扶養されていると認定される対象者を説明します。
- 配偶者以外の16歳以上の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)
- 同一生計
- 給料収入103万円以下(年間所得48万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でない
①では配偶者は別の制度があり、16歳未満は児童手当があるので適用されません。通常の場合は③を気にしていれば十分かなと思います。
16歳以上18歳以下(一般扶養親族) | 38万円 |
19歳以上22歳以下(特定扶養親族) | 63万円 |
23歳以上69歳以下(成年扶養親族) | 38万円 |
同居かつ70歳以上(老人扶養親族) | 58万円 |
同居以外かつ70歳以上(老人扶養親族) | 48万円 |
この金額が、生計を立てている人(扶養者)の年収から減額(控除)して税金計算してくれます。
配偶者控除・配偶者特別控除について
配偶者の扶養は、特別に「配偶者控除」という制度があります。この制度に認定される対象者を説明します。
- 配偶者
- 同一生計
- 給料収入103万円以下(年間所得48万円以下)
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でない
- 控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超えていない
条件①、②、④、⑤を満たしていても、③が適応外だと「配偶者控除」が受けられません。そんな時は、年収103万円以上だと「配偶者特別控除」という制度が適応されます。③の所得に応じて一定の所得控除を受けられます。150万円未満までは配偶者控除と変わらない金額ですが、所得金額がそれ以上に多くなると控除額は下がっていき、最後はゼロになります。
年収103万以下(69歳以下の配偶者控除) | 38万円(※扶養者の所得が900万以下) |
年収103万以下(70歳以下の配偶者控除) | 48万円(※扶養者の所得が900万以下) |
年収103万以上150万以下(配偶者特別控除) | 38万円(※扶養者の所得が900万以下) |
年収150万以上201万以下(配偶者特別控除) | 36・・・31・・・26・・・21・・・16・・・11・・・6・・・3万円段階的に下落(※扶養者の所得が900万以下) |
この金額は、生計を立てている人(扶養者)の年収から減額(控除)して税金計算してくれます。(※扶養者の所得が900万以上の場合は金額が違います)
被扶養者の税負担
今回は扶養とは違う話なので詳しい説明は割愛しますが、パート・アルバイトしている被扶養者自身の所得税と住民税も、一定額以上に収入があると税負担が発生します。
年収100万以上 扶養されている人(被扶養者)の所得 | 住民税が発生 |
年収103万以上 扶養されている人(被扶養者)の所得 | 所得税が発生 |
この金額は、扶養されている人(被扶養者)の年収から税金が取られる計算になります。
また、忘れがちなのが、扶養者が所属している会社で「扶養手当」があれば、税の扶養基準を基にすることが多く、「年末調整」で会社に知られてカットされることがあり、注意が必要です。
【社会保険】における扶養について
主に健康保険や厚生年金保険をまとめて社会保険と呼びます。社会保険の扶養では、扶養者の社会保険の支払いだけで扶養されている人も一緒に保険に加入できる、という優遇措置があります。
社会保険の加入条件
- 1週間の所定労働時間、1か月の所定労働日数が常時雇用者の3/4以上であること
- 一般的には、所定労働時間が週30時間以上であること
この場合はまず社会保険に加入する必要があります。それ以外では、次の場合は社会保険に加入する必要があります。
勤め先で違う、社会保険の加入条件
被扶養者が働く企業によって社会保険の加入条件が違い、次の全ての条件に当てはまると、社会保険に加入する必要があります。
- 週20時間以上
- 月額賃金8.8万円以上(年収106万円以上)
- 勤務期間は1年以上見込み
- 学生は適用除外
- 従業員 501人以上の企業(今後は小企業も対象になる)
この条件に当てはまらない場合は、次の条件で扶養から外れることになります。
「健康保険」扶養から外れる条件
- 同一世帯は、年収が130万円未満(対象者が60歳以上もしくは障害厚生年金を受けている障害者の場合は180万円未満)であり、扶養者の年収の2分の1未満
- 同一世帯でない時は、年収が130万円未満(対象者が60歳以上もしくは障害厚生年金を受けている障害者の場合は180万円未満)であり、扶養者からの援助による収入額より少ない
「厚生年金保険」扶養から外れる条件
- 厚生年金に加入して保険料の納付を行っている第2号被保険者の配偶者で、20歳以上、60歳未満の者(3号被保険者)、年間収入130万円未満
- 60歳以上の方、障害厚生年金を受けている方は、年間収入が180万円未満。加えて、同居をしている場合、収入が扶養者の収入の半分未満
この条件に当てはまると、基本的には勤め先で社会保険料を納付することになります。
年収が130万円以上 40歳未満65歳以上 | 健康保険:約5% 厚生年金:約9% |
年収が130万円以上 40歳以上65歳未満 | 健康+介護保険:約6% 厚生年金:約9% |
この金額が、扶養をされている人(被扶養者)が扶養から外れることで、収入から自分で支払う必要があります。
社会保険料は保険なので、取られるだけではない
この社会保険料というのは、勤め先の会社が半分負担してくれます。ですから、目先の手取りは減っても、将来の厚生年金は今より増えることになります。また、怪我した時の傷病手当金や、出産のときの出産手当金などもあり、すべてが損という訳ではありません。
扶養の収入別の早見表
税に社会保険に色々説明しましたが、本当に理解させる気があるのか?と思うくらい面倒ですよね。最後に、おさらいの意味も込めて内容をまとめます。
100万円以上 |
住民税支払い | 住民税が発生する(課税所得 × 10% + 均等割5,000円程度が住民税) |
103万円以上 |
扶養・配偶者控除が終了 所得税支払い |
扶養している人・配偶者が、38万円の控除を受けられない 所得税が発生する(課税所得 × 5%ほど) |
106万円以上 | 社会保険加入(一部) | 企業によって、扶養から外れて社会保険に加入して社会保険料(給料の約14%)を支払う |
130万円以上 | 社会保険加入 | 扶養から外れて社会保険に加入して社会保険料(給料の約14%)を支払う |
150万円以上 | 配偶者特別控除が減額 | 扶養者の配偶者特別控除が38万円から減る |
180万円以上 | 障害者・高齢者 社会保険加入 |
障害者または60歳以上の場合、社会保険に加入して社会保険料(給料の約14%)を支払う |
201万円以上 | 配偶者特別控除が終了 | 扶養者が配偶者特別控除を受けられない |
まとめ
いかがでしたでしょうか。実際はもっと複雑ですが、知らないだけで損するのは本当にもったいないことです。年々制度も変わりますから、一度なんとなくでも知って、未来に「あれ何か、制度あったよな・・・」と思ってその時にあらためて調べ直せれば十分だと思います。
ついつい難しいと目を背けたくなりますが、ルールの存在を知らないと何も行動できません。主体的にルールを知る努力をして、しっかり頭に入れておきましょう。
たいていの無知は克服できる無知である。我々が知らないのは、知ろうとしないからである
(オルダス・ハクスリー:イギリス出身の文芸作家)
今日も読んでいただき、ありがとうございました。